国語を得意に! 〈日比谷・西・戸山・青山・国立・立川・八王子東〉合格のために

進学指導重点校の国語で合格点をとるコツを教えます。

選択肢問題を解く二つのコツ。

前回のブログで国語の成績は上がるのだということをお知らせしました。

では、実際にどう考えれば答えを導けるのかを示していきます。

 

今回は選択肢問題のコツを丁寧に解説しました。

 

2020年度日比谷高校の入試問題をご覧ください。

日比谷高校のホームページに問題は出ているのでそちらでご確認ください。

 

3番の小説の問1を使って選択肢問題の正解を出すコツをお伝えします。

 

まず、最も重要なことをお伝えします。

 

根拠をとってから選択肢を見る。

 

国語の成績を上げるために最も重要なことです。

傍線の段階で根拠がわからない場合は、半ページは読み進めてください。

それでもわからない場合は、選択肢を見て今まで通りなんとなく答えてください。

では、実際に見ていきましょう。

 

問1

(A)から(B)までの朋樹の心情の変化を問われています。

 

この問題を解く上でまず重要なのは、最初に文章を読んでいる段階でこの(A)って何だろう? と疑問を持つことです。

設問の合図になっているはずなので、問われていることを確認してしまうことです。

そして、読みながら心情の変化を意識するようにします。

 

それでは、根拠となる表現を押さえていきましょう。

 

1)「照らし出された光景に、朋樹は息をのんだ」

ここで「照らし出された光景」の内容を把握しましょう。

情報として不十分な箇所をつかんでいくようにします。

 

「朋樹は中に一歩踏み入れた」に立ち止まれる人は素晴らしいです。

最初は膨大な数に圧倒されていただけだったが、いよいよ中身を見ようとしているのです。

 

2)「『一九四九年て……』朋樹は思わず声に出した」

直前にある「つまり、同じアンモナイトを〜」の文から流れで出ている言葉だということはわかりますね。

 

3)「いったいいくつあるのだろう。朋樹は静かに息をついた」

 

1)膨大な数の棚があることに圧倒された。

2)同じアンモナイトをいろんな場所でいろんな人が何十年も集めつづけていることに感嘆した。

3)ここにあるアンモナイトの数の多さに心底驚いている。

 

この1)〜3)への流れを根拠にして、選択肢にいきます。

 

ア それまでは戸川の博物館に対する思いがよく理解できなかったが、多くの学者が何十年にもわたって集め続けてきた大量のアンモナイトの化石を見て圧倒されている。

 

という最初の選択肢を読んだ段階で、気づかなければならないことがあります。

この設問は、(A)から(B)までの朋樹の心情の変化を問われているのではなく、

(A)の前までと(A)から(B)の朋樹の心情の変化だったと。

 

そこで、このアンモナイトを見る前の確認をします。

すると、「『なんでそんなに、ここが……。』この古くて面白みのない博物館が、大切なのか。」という表現があります。

すなわち、博物館を大切に思う戸川の気持ちがわからなかったことがわかります。

 

この内容から、先ほどの1)〜3)への変化と考えればよいのです。

 

では、選択肢を選ぶ際にやってはいけないことをお伝えします。

選択肢に合わせて根拠を解釈しない。

根拠が書かれている選択肢を素直に選ぶ。

 

読解力がないわけではないのに、点数が伸びない人は例外なく解釈をしています。

こう読んだらこれも正解だ! これをやるから点を落としてしまうんです。

 

それでは、答えはどれになるのでしょうか。

 

・博物館を大切に思う戸川の気持ちがわからなかった。

・いろんな場所でいろんな人が何十年も集めつづけてきた膨大な数のアンモナイトを前にして心底驚いている。

この内容を素直に選びます。

 

よって正解はアになります。

 

ウとエのどこが違うかを根拠を見比べてみましょう。

ウは、戸川の気持ちがわからないということが書かれていません。

エでは、最後に書かれている「いったいいくつあるのだろう」というアンモナイトの化石の多さに圧倒されている部分が読み取れません。

 

根拠をとってから答えを出すという流れで説明しました。

もし、この順番を変えて解いていたらどうなるでしょうか?

 

例えばウ。「それまでは博物館なんて古臭くて面白みがない場所だと思っていた」は本文に書いてある。「驚くほど大量のアンモナイト」これも間違いない。だから、「博物館の魅力を感じはじめている」と考えることはできるはず。よし、ウが正解だ。

こんなふうになってしまうのです。最後に見事に解釈が入っていますね。もちろん、最初の部分は根拠とずれているのですが、ウが書いてあるかを調べてしまうと書いてあることになってしまうんです。

 

エも同様です。「戸川が博物館を大切に思う理由が分からなかった」は書いてありますし、正しいです。「実に多くの学者がアンモナイトの研究に関わっていたことを知って」も書いてあります。だから、「戸川への関心が強くなっている」と捉えることもできる。

先ほどのウと同様です。

 

もし、この問題を消去法での解説を受けたとしましょう。

「ウは、博物館が面白みがないと思っていたのではなく、そんな戸川が理解できなかったんだよね。それに、魅力を感じはじめているが言い過ぎだよね」となるでしょうか。

「エは、戸川への関心が強くなっているがおかしいですね。この段階は読みきれません」となりますかね。

こういう授業を受けていたら点数に変化が生じるはずはありませんね。

本人は自分のどこがいけなかったのかがわからないままだから。

 

 

では、最後に選択肢問題を解く二つのコツを改めて示します。

①本文に根拠をとってから答えを出す。

②根拠が書かれている選択肢を素直に選ぶ。

 

皆さんのお役に立てると幸いです。